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 昭和38年版 犯罪白書 第二編/第六章/三 

三 在監,在院者の環境調査調整

 環境調査調整の業務は,刑務所,少年院および婦人補導院等の矯正施設に収容されている者の,円滑な社会復帰を図るため実施されるものである。その実施は,保護観察所長の指名する担当者(大部分は保護司)が,帰住予定地の引受保護者の宅を訪問し,引受意志の有無,家庭環境,社会感情,釈放後における生活設計等必要な事柄を調査し,また,その調整について相談にあずかることによって行なわれる。環境調査調整の結果は,環境調査調整報告書により,担当者の所属する保護観察所を経由して,施設所在地を管轄する地方委員会および在監,在院施設に送付されるが,担当者は,対象者が収容されている間は,引続いて調査調整を行ない,少なくとも六月に一回は環境追報告書により報告することとなっている。
 環境調査調整の状況は,II-107表に示すとおりである。この表によると,昭和三五年度までは漸減し,昭和三六年度にいたって急激に減少しているが,これは前述のとおり,矯正施設への入所,入院者が減少したことによるものである。しかし,第一回目の調査調整に引続いて担当者が実施したその後の調査調整の経過報告(追報告)は,累年活発に提出されるようになっており,環境調査調整に当たる担当者のケースワークはしだいに綿密,かつ敏速化しつつあるものと思われるのであって,これは矯正施設からの社会復帰を,今後ますます円滑ならしめるのに役だつであろう。

II-107表 環境調査調整の受理状況(昭和32〜36年)