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 昭和38年版 犯罪白書 第二編/第二章/三/2 

2 自由刑の執行

 懲役は,刑務所内に拘置して定役に服させ(刑法第一二条第二項),禁錮は刑務所に拘置し(同法第一三条第二項),拘留は拘留場に拘置(同法第一六条)して執行する。
 自由刑の執行をうけている者が,心神喪失の状態にあるときは,その状態が回復するまで,その執行を停止することになっており(刑訴第四八〇条),「刑の執行によって,著しく健康を害するとき,又は生命を保つことのできない虞があるとき」その他の事由があるときは,検察官の指揮によって,その刑の執行を停止することができるとされている(同法第四八二条)。
 自由刑の執行および執行停止の状況はII-49表のとおりであるが,懲役刑の執行は最近五年間に漸減の傾向にあり,反対に,禁錮刑の執行は漸増の傾向にあることが目だつ。禁錮刑の増加は,自動車事故による業務上過失致死傷事件の増加に伴う禁錮刑の実刑の増加に起因するものと思われ,また懲役刑の減少は,さきに述べたように,懲役刑の言渡し自体が減少したうえ,執行猶予率が増加した結果によるものである。

II-49表 自由刑の執行人員(昭和32〜36年)