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 平成10年版 犯罪白書 第3編/第7章/第5節/3 

3 少年司法の運用

 ここでは,前項に記述した韓国の少年法に基づき,20歳未満の者を少年として記述する。
 III-49表は,1994年から1996年までの3年間における検事による犯罪少年の処分状況を成人のそれと比較したものである。

III-49表 犯罪少年の検察処理人員 韓国(1994年〜1996年)

 少年の場合,成人と比べると,不起訴率が高くなっており,とりわけ起訴猶予率の高さが著しい。
 なお,1995年には,1万1551人が善導条件付き起訴猶予処分に付され,476人が保護観察所の善導条件付き起訴猶予処分に付されている。
 III-50表は,1988年に全面改正された少年法が翌1989年施行されて以降1996年までにおける,少年部が受理した少年保護事件の処分状況を見たものである。

III-50表 少年保護事件の処分人員 韓国(1989年〜1996年)

 1996年に保護処分に付された者は,少年保護事件総数の94.8%に当たる3万992人であり,同じく83.4%が保護者等への委託に付され,そのうち,保護処分の70.5%に相当する2万1,840人が短期保護観察又は保護観察との併合処分となっている。
 1996年における少年院の新収容人員は3660人(男子3382人,女子278人),一日平均収容人員は3462人であり,また,1995年末現益の保護観察処分に付された者は1万9861人である(韓国犯罪白書による。)。
 1992年から1996年までの第一審少年刑事公判事件の裁判状況は,III-51表のとおりである。

III-51表 第一審少年刑事事件処理人員韓国(1992年〜1996年)

 1996年の刑事公判事件の処理人員は,17万2758人であり,このうち20歳未満の者は9,2%(1万5926人)を占めている。これを年齢層別に見ると,18・19歳が4.0%,16・17歳が3.6%,14・15歳が1.6%の順となっている(韓国司法年鑑による。)。
 なお,1996年末現在の少年矯導所(2か所)収容の少隼受刑者は1511人であり,罪名別では窃盗(22.4%))が最も多く,以下,暴力・傷害(20.8%),強姦等(19.2%),強盗等(16.7%)の順となっている。