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 平成10年版 犯罪白書 第3編/第5章/第3節/2 

2 交友関係

 非行少年が友達との関係をどのように認識しているかについて,前回調査と比較したものがIII-92図である。

III-92図 友達との関係(経年)

 男女共に,「悲しいことがあったら話を聞いてもらう」を選択した者の比率が最も高く,次いで「お互いに悪いところは悪いと言い合える」となっている。この順位は前回と変わりがなく,また,その比率はいずれも上昇している。また,特に女子において,「お互いの性格は裏の裏まで知っている」が低下する一方,「けんかをし合える」が上昇している。
 男女共に親密さを重視する回答が上位を占めていることは前回と同様であるが,一方で,「相手にけっこう気をつかっている」,「自分のすべてをさらけ出すわけではない」,「一緒にいるときでも別々のことをしている」とする者が,比率はそれほど高くないものの,前回と比べて上昇している。交友関係において,ある程度の親密さを求めながらも,互いに距離感を感じ,自分を出してしまうことはちゅうちょするといった傾向が出てきていることがうかがえる。
 次に,「どんな友達が大事だと思いますか」と尋ねた結果を前回調査と比較したものがIII-93図である。選択された回答の順位は男女とも前回と変化はないが,男女共に,「困ったときに助けてくれる人」の比率が上昇している一方,「他の人には言えないことを聞いてくれる人」が低下しており,どちらかというと精神的な支えより実際的な助力をしてくれる関係を重視する傾向が強くなっていることがうかがえる。

III-93 大切な友達(経年)