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 平成10年版 犯罪白書 第3編/第4章/第3節/1 

第3節 薬物事犯少年の特質

1 人員・年齢等

(1) 人員・年齢

 最近10年間に少年鑑別所に収容されて資質鑑別を終了した少年のうち,非行名が覚せい剤取締法違反の少年(「覚せい剤少年」という。以下,本章において同じ。)は,合計8047人(うち,男子4060人,女子3987人)であるが,これを累計して年齢別に見ると,男女共に19歳(男子50.4%,女子32.7%)が最も多く,以下,18歳(同29.2%,29.6%),17歳(同14.0%,20.4%)と年齢の低い順に少なくなっている。年長少年の占める比率は,男子が79.6%,女子が62.3%と圧倒的に高くなっている。
 同じく非行名が毒劇法違反の少年(「毒劇物少年」という。以下,本章において同じ。)は,合計1万1462人(うち,男子8780人,女子2682人)であり,これを累計して年齢別に見ると,男子は17歳(24.1%)が最も多く,以下,18歳(24.0%),19歳(22.2%)の順,女子は16歳(30.1%)が最も多く,以下,17歳(24.3%),18歳(15.0%)の順となっている。年齢層別には,男子が年長少年(46.2%),女子が中間少年(54.4%)が最も多くなっている。

(2) 入所回数

 最近10年間を累計して薬物事犯少年(覚せい剤少年及び毒劇物少年をいう。以下本章において同じ。)の入所回数を見ると,初回の者の比率は,覚せい剤少年が男子60.8%,女子72.7%,毒劇物少年が男子62.0%,女子73.7%であり,いずれも男子の比率が低くなっている。昭和63年と平成9年について見ると,覚せい剤少年では,男子が48.6%から67.1%へ,女子が65.1%から80.0%へ,毒劇物少年では,男子が60.5%から65.7%へ,女子が70.6%から78.8%へと,それそれ上昇している。特に,覚せい剤少年における上昇の程度が大きくなっており,初回入所の者の大幅な増加がうかがわれる。

(3) 職業等

 最近10年間を累計して薬物事犯少年の職業等を見ると,覚せい剤少年では,男子が有職(49.9%),無職(45.0%),学生・生徒(4.8%)の順,女子が無職(59.6%),有職(30.9%),学生・生徒(9.2%)の順となっており,毒劇物少年では,男子が有職(49.4%),無職(41.1%),学生・生徒(91%)の順,女子が無職(57.8%),有職(24.4%),学生・生徒(17.6%)の順となっている。

(4) 教育程度

 最近10年間を累計して薬物事犯少年の教育程度を男女別に見ると,男女共に中学卒業の比率が最も高く(覚せい剤少年男子50.5%,同女子42.8%,毒劇物少年男子55.9%,同女子48.5%),鑑別所収容少年総数(男子45.6%,女子37.4%)と比べて高くなっている。さらに,覚せい剤少年では高校中退の比率(男子36.2%,女子38.1%)も,鑑別所収容少年総数(男子31.1%,女子27.9%)と比べて高くなっている。