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 平成10年版 犯罪白書 第1編/第3章/第2節/1 

1 検察審査会

 検察審査会は,全国に201か所設置されており,選挙人名簿を基にくじで選ばれた者11人(任期6か月)の検察審査員をもって組織される。告訴人,告発人,請求人若しくは被害者の申立てにより又は職権で,検察官の不起訴処分の審査を行い,「起訴相当」,「不起訴不当」又は「不起訴相当」の議決を行う。この議決に法的拘束力はないが,起訴相当又は不起訴不当の議決があった場合,検事正は,議決を参考にし,公訴を提起すべきものと考えるときには,起訴の手続をしなければならない。
 I-21表は,平成4年から8年までの5年間における検察審査会の事件の受理・処理状況を見たものである。5年に新受・処理人員が多かったのは,多数の市民により告発がなされた国会議員の寄付金に係る政治資金規正法(量的制限)違反事件関係の申立て(4万305人)が含まれていたことによる。8年の新受人員のうち,刑法犯は1255人であり,罪名別に見ると,業務上過失致死傷が381人で最も多く,以下,文書偽造工58人,職権濫用(特別公務員暴行陵虐・同致死傷を含む。)156人,傷害・同致死86人,詐欺82人の順となっており,特別法犯は129人で,公職選挙法違反の31人が最も多く,次いで,著作権法違反の28人となっている。

I-21表 検察審査会事件受理・処理人員(平成4年〜8年)

 さらに,起訴相当又は不起訴不当の議決がなされた事件について,検察庁がとった原不起訴理由別事後措置は,I-22表のとおりである。

I-22表 起訴相当・不起訴不当議決事件の原不起訴理由別事後措置(平成4年〜8年)

 なお,昭和24年の検察審査会法の施行から平成8年までの間の累計では,12万8044件の処理がなされ,1万5893件の起訴相当又は不起訴不当の議決がなされている。このうち1009件が起訴され,875人(自由刑321人,罰金554人)が有罪になっている(最高裁判所事務総局刑事局の資料による。)。