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 平成 9年版 犯罪白書 第2編/第8章/第3節/2 

2 逃亡犯罪人の引渡し

  (1) 我が国から外国に対する逃亡犯罪人引渡し請求逃亡犯罪人の身柄を確保する手段として,外交ルートにより犯罪人の引渡しを受ける方法があるが,これには検察庁が依頼する場合と警察等が依頼する場合があり,いずれも,外務省を経由して引渡し請求が相手国に伝えられる。
 なお,逃亡犯罪人の任意の帰国や外国当局による退去強制によりその身柄が確保できる場合もある。
 犯罪人の引渡しに関して我が国が締結している二国間条約は,日本国とアメリカ合衆国との間の犯罪人引渡しに関する条約(昭和55年条約第3号)だけであり,同条約は,一定の要件の下に両国に対し相互に犯罪人を引き渡すことを義務づけている。
 我が国がアメリカ以外の国に対し犯罪人の引渡しを求める場合の要件や手続は,相手国の国内法令に従うことになる。
 最近10年間に,我が国が外国から引渡しを受けた逃亡犯罪人は,II-43表のとおりである。内訳は,平成元年にドイツから1件1人,3年にオーストラリアから1件1人,4年にイタリアから1件1人,5年にアメリカから2件2人,6年にブラジルから1件1人,それぞれ引渡しを受けている(法務省刑事局及び警察庁の資料による。)。

II-43表 逃亡犯罪人引渡し人員(昭和62年〜平成8年)

  (2) 外国から我が国に対する逃亡犯罪人引渡し請求外国から我が国に対し外交ルートにより逃亡犯罪人の引渡しの請求があった場合の要件や手続を定めているのが,逃亡犯罪人引渡法(昭和28年法律第68号)である。
 最近10年間に我が国が外国に引き渡した逃亡犯罪人は,II-43表のとおりであり,相手国はアメリカが10件11人と,大部分を占めている(巻末資料II-46参照)。平成8年には,ドイツから1件1人の逃亡犯罪人の引渡しの請求を受け,7年にアメリカから請求のあった1件1人と併せた2件2人について,同年中に身柄の引渡しを完了している(法務省刑事局の資料による。)。