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 平成 9年版 犯罪白書 第2編/第4章/第2節/3 

3 上訴審

(1) 控訴率及び控訴受理人員
 平成7年及び8年に言い渡された第一審判決に対する控訴率を見ると,地方裁判所の判決に対しては10.1%及び9.9%,簡易裁判所の判決に対しては5.3%及び5.4%となっている(司法統計年報による。)。
 II-7表は,平成7年及び8年について,高等裁判所の控訴受理人員を控訴申立当事者別に見たものであり,いずれの年次においても,97%以上は被告人側からのみ申し立てられている。

II-7表 控訴申立当事者別控訴受理人員

(2) 罪名別控訴審終局処理人員
 II-8表は,平成7年に高等裁判所が控訴審として処理した結果を,罪名別に見たものである。
 終局処理人員総数に占める比率は,控訴棄却が66.0%,取下げは18.1%,破棄自判は15.2%である。罪名別に取下げ率を見ると,窃盗,覚せい剤取締法違反及び暴力行為等処罰法違反の取下げ率は20%を超えている。また,破棄自判事は,業過,強姦・強制わいせつ,恐喝,詐欺,強盗等が20%を超えている。破棄理由を見ると,破棄人員総数中195人(24.9%)は量刑不当によるものであり,自判の結果,裁判が覆されて無罪となった者は終局処理人員総数の0.2%を占めている。
 なお,検察官が第一審の無罪判決を不服として控訴した事件のうち,平成7年に16人の被告人に対し控訴審の裁判が行われているが,そのうち13人(81.3%)については,第一審判決が覆されて有罪となっている(検察統計年報による。)。

II-8表 罪名別控訴審終局処理人員

(3) 上告率と上告受理人員
 平成7年及び8年に言い渡された控訴審の判決に対する上告率を見ると,37.7%及び36.5%である。この両年における最高裁判所の上告受理人員は1,331人及び1,429人である。
 II-9表は,平成7年及び8年について,最高裁判所が上告審として終局処理した結果を見たものである。

II-9表 上告審終局処理人員