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 平成 8年版 犯罪白書 第3編/第8章/第2節/1 

第2節 被害救済の実情

1 犯罪被害給付制度の運用

 我が国の犯罪被害者に対する国家的救済制度については,第1編第3章第3節においても記述したが,本節では,犯罪被害者に対する救済制度(経済的援助)の中心的役割を果たしている犯罪被害者等給付金支給法(以下,本節では「給付法」という。)の運用について概観する。
 給付法は,人の生命又は身体を害する犯罪行為により,不慮の死を遂げた者の遺族又は重障害を受けた者に対し,国が犯罪被害者等給付金(以下「給付金」という。)を支給することについて定めているもので,昭和56年1月1日から施行され,施行後に行われた犯罪行為による死亡又は重障害について適用されている。
 給付金を受けようとする者は,その者の住所地を管轄する都道府県公安委員会に申請し,その裁定を受けなければならない。申請は,当該犯罪被害の発生を知った日から2年を経過したとき,又は当該犯罪被害が発生した日から7年を経過したときは,することができない。
 III-59表は,給付法が施行された昭和56年1月1日から平成7年12月31日までの15年間における同法の運用状況を見たものである(本表の申請者数の中には殺人,強盗事犯以外の犯罪行為によるものも含まれている。)。

III-59表 犯罪被害に対する給付金申請者数・支給裁(決)定者数・支給裁(決)定総額(昭和56年〜平成7年)

 給付金の額について見ると,被害者一人当たりの給付限度額は,給付法が施行された昭和56年では遺族給付金が806万円,障害給付金が951万4,000円(昭和55年政令第287号)であったが,その後数回にわたり政令が改正されて限度額が引き上げられており,平成7年12月31日現在における被害者一人当たりの給付限度額は,遺族給付金が1,079万円,障害給付金が1,273万円(平成6年政令第174号)となっている。
 III-53図は,昭和56年1月1日から平成7年12月31日までの間における遺族給付金支給裁(決)定者(給付金を受給した遺族)と被害者との関係の構成比を見たものである。

III-53図 遺族給付金支給裁(決)定者の被害者との関係別構成比(昭和56年〜平成7年の累計)