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 平成 8年版 犯罪白書 第3編/第6章/第1節/1 

1 少年鑑別所

(1) 非行名別新収容人員等
 昭和57年以降,少年鑑別所新収容人員総数は,59年をピークにほぼ一貫して減少を続けているが(第2編第3章第2節1のII-33図参照),凶悪事犯少年は,63年を底(370人)として平成6年までほぼ一貫して増加し,同年には過去14年間で最高の560人に上った。7年は6年よりやや減少したものの,やはり522人と昭和57年以降2番目に高い数値を示している。
 凶悪事犯少年に占める女子の比率は,5.5%から13.3%の間で推移しており,一般事犯少年総数に占める女子の比率より常に低い。ちなみに,平成7年の女子の比率は,一般事犯少年で13.7%,凶悪事犯少年で5.6%である。
 III-28図は,非行名別に,凶悪事犯少年の新収容人員の推移を見たものである。平成5年以降,強盗致死傷事犯の少年(以下,本章では「強盗致死傷事犯少年」という。)の増加が著しい。特に男子の強盗致死傷事犯少年は,平成元年を底とし,以降ほぼ増加傾向にあり,7年には昭和57年以降最高の278人に上った。ちなみに,女子の強盗致死傷事犯少年は,平成4年の21人が最多で,14年間の平均は14人,7年は13人である。

III-28図 凶悪事犯少年の非行名別少年鑑別所新収容人員の推移(昭和57年〜平成7年)

(2) 年齢層別新収容人員
 III-45表は,少年鑑別所新収容人員総数が最も多かった昭和59年を100とし,凶悪・一般事犯少年別,各年齢層別に,新収容人員の指数の推移を見たものである。一般事犯少年では,各年齢層共に,60年以降顕著な減少が見られる。これに対して,凶悪事犯少年では同様の減少傾向は見られず,平成7年の年長少年及び中間少年におけるそれぞれの指数を見ると,120,110と増加している。
(3) 処分歴
 凶悪・一般事犯少年別の処分歴では,保護観察歴がある者の比率は,一般事犯少年の方が凶悪事犯少年より高いが,少年院送致歴や教護院・養護施設送致歴がある者の比率については,一般事犯少年と凶悪事犯少年の間に大きな差は見られない。

III-45表 凶悪・一般事犯少年別の年齢層別少年鑑別所新収容人員の指数(昭和57年〜平成7年)

(4) 学生・生徒
 III-29図は,学生・生徒の比率の推移を,凶悪・一般事犯少年別に見たものである。ほとんどの年で,凶悪事犯少年における学生・生徒の比率が一般事犯少年におけるそれを上回ってきた。特に最近2年間,凶悪事犯少年における学生・生徒の比率は増加しており,7年における学生・生徒の比率は,一般事犯少年で約2割であるのに対し,凶悪事犯少年では約3人に1人に上っている。
(5) 共犯関係
 III-30図は,凶悪事犯少年について,非行名別に,共犯者がある者の比率(以下,本章では「共犯率」という。)の推移を見たものである。ただし,強盗強姦・同致死事犯の少年(以下,本章では「強盗強姦事犯少年」という。)は数が少ないので,ここでは分析の対象としない。一般事犯少年の共犯率は一貫して60%台であるが,殺人事犯の少年(以下,本章では「殺人事犯少年」という。)では平成元年を除き,一般事犯少年のそれより低く,反対に,強盗事犯の少年(以下,本節では「強盗事犯少年」という。)及び強盗致死傷事犯少年の共犯率は,一般事犯少年のそれより一貫して高い。

III-29図 少年鑑別所新収容者の凶悪・一般事犯少年別学生・生徒の比率の推移(昭和57年〜平成7年)

III-30図 少年鑑別所新収容者の凶悪・一般事犯少年別共犯率の推移(昭和57年〜平成7年)

(6) 不良集団関係
 III-31図は,過去14年間について,地域不良集団又は暴力組織に所属している者の比率の推移を,一般・凶悪事犯少年(強盗強姦事犯少年は数が少ないので,ここでは分析の対象としない。)の間で,非行名別に比較したものである。
 地域不良集団に所属している者の比率は,窃盗・強盗致死傷事犯少年の方が,殺人事犯少年より一貫して高く,暴力組織に所属している者の比率は,殺人事犯少年の方が強盗・強盗致死傷・一般事犯少年よりもほぼ一貫して高い。

III-31図 少年鑑別所新収容者の凶悪・一般事犯少年別不良集団と関係のある者の比率の推移(昭和57年〜平成7年)

(7) 審判決定
 III-32図は,非行名別に,審判を受けた者の総数に占める保護観察,少年院送致及び検察官送致の決定がなされた者の比率の推移を見たものである(強盗強姦事犯少年は数が少ないので,ここでは分析の対象としない。)。

III-32図 少年鑑別所新収容者の凶悪・一般事犯少年別審判決定の比率の推移(昭和57年〜平成7年)