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 平成 8年版 犯罪白書 第3編/第4章/第1節/2 

2 上訴審

(1) 控訴審
 昭和60年以降の10年間の控訴審における凶悪事犯の終局処理人員を見ると,殺人及び強盗致傷等は平成2年まで,強盗は3年までは,いずれも減少傾向を示していたが,その後は増加傾向を示している。6年は,殺人は前年より13人(9.8%)増加して145人に,強盗は前年より26人(45.6%)増加して83人に,強盗致傷等は前年より40人(50.6%)増加して119人となっている。
 この10年間における終局処理人員の累計中に占める破棄判決人員の累計について見ると,殺人は1,588人中の336人(21.2%),強盗は559人中の111人(19.9%),強盗致傷等は896人中の140人(15.6%)となっている。しかし,破棄自判の上で無罪判決が言い渡された人員を見ると,10年間の累計で,殺人は13人,強盗は1人であって,強盗致傷等については例を見ない。また,破棄差戻しされた事件の人員は10年間で,殺人・強盗及び強盗致傷等共に1人から5人となっている(巻末資料III-11参照)。
(2) 上告審
 昭和60年以降の10年間の上告審における凶悪事犯の終局処理人員を見ると,殺人はおおむね30人台から40人台で,強盗は平成6年の21人を除くと一けたから10人台で,強盗致傷等はおおむね20人台から30人台で推移している。
 この10年間における終局処理人員の累計中に占める破棄判決人員の累計について見ると,殺人は374人中の5人(1.3%),強盗は91人中の1人(1.1%)・となっており,強盗致傷等の総数263人中に破棄判決を受けた者はない。上告審係属事件の多くは,上告棄却判決又は決定若しくは取下げによって終局している(巻末資料III-12参照)。