前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 平成 8年版 犯罪白書 第3編/第3章/第1節/2 

2 被疑者の身柄の措置

(1) 逮捕と逮捕後の措置
 III-11表は,最近3年間における凶悪事犯の検察庁既済事件について,被疑者の逮捕・勾留の状況を罪名別に見たものである。

III-11表 凶悪事犯の検察庁既済事件の逮捕・勾留別人員(平成5年〜7年)

 身柄率は,3か年を通算すると,殺人は46.0%,強盗は68.4%,強盗致傷等は67.9%であって,いずれも総数についての3か年通算身柄率の28.1%を大きく上回っている。
 勾留請求率も,5か年を通算すると,殺人は99.3%,強盗は97.1%,強盗致死傷等は94.6%であり,いずれも総数についての3か年通算勾留請求率の90.7%を上回っている。
 なお,最近3年間では,凶悪事犯についての勾留請求が裁判官によって却下された例はない。
(2) 被疑者の勾留後の措置と勾留期間
 III-12表は,最近3年間における凶悪事犯の検察庁既済事件について,被疑者の勾留後の措置状況を罪名別に見たものである。

III-12表 凶悪事犯の検察庁既済事件の勾留後の措置別人員(平成5年〜7年)

 すべての罪名の被疑者について,勾留されながらその後に釈放された者の比率は,この3か年を通算すると7 26.6%であるが,凶悪犯罪に係る被疑者については,この3か年通算の比率は,殺人は22.7%,強盗は12.3%,強盗致傷等は8.3%である。
 このように凶悪事犯の被疑者として勾留されながら後に釈放された者の中には,犯行時の心神喪失による不起訴処分を受けた者等が含まれているが,これらの者については,措置入院の手続がとられることもある(第1編第2章第5節参照)。