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 平成 8年版 犯罪白書 第1編/第2章/第5節/3 

3 精神障害のある犯罪者の特色

 以下,対象者について,その特色を見ることとする。
(1) 罪名・精神障害名
 対象者の罪名と精神障害名との関係を見ると,罪名別では,殺人(総数の18.3%)が最も多く,精神障害名別では,精神分裂病(総数の59.7%)が最も多い(巻末資料I-16参照)。
(2) 犯行時の治療状況
 対象者中,本件犯行時において治療を受けていたかどうかが明らかな者3,625人について,犯行時までの治療状況を見ると,犯行時において現に治療を受けていない者は約3分の2であり,そのうち約半数は犯行前5年間に治療歴がある(巻末資料I-17参照)。
(3) 退院時の病状及び退院から犯行までの期間
 入院歴がある対象者のうち,本件犯行前に退院した1,982人について,直近退院時における病状及び直近退院時から本件犯行時までの期間を見ると,直近退院時に未治癒のまま退院した者は395人(19.9%)であり,病院から回答が得られないなどの理由のため,直近退院時の病状が不明な者は922人(46.5%)である。退院後1年以内に犯行に及んだ者は,878人(44.3%)である(巻末資料I-18参照)。
(4) 犯行後の精神保健法等による取扱状況
 対象者の犯行後の治療状況を見ると,約半数の者が措置入院となっており,その他の入院を含めると,入院した者は約8割を占める(巻末資料I-19参照)。