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 平成 7年版 犯罪白書 第4編/第9章/第5節/1 

第5節 韓  国

1 概  説

 韓国の薬物犯罪についての本節の記述は,韓国大検察庁発行の韓国麻薬類犯罪白書(1993年版)及び韓国法務研修院発行の韓国犯罪白書(1994年版)に基づくものであり,統計及び資料は,両白書,韓国検察年鑑(1994年版)及び韓国司法年鑑(1989年版から1993年版まで)によるものである。
 韓国の薬物事犯は,1950年代・1960年代はあへん類とメサドン,1970年代は大麻,1980年代はメタンフェタミン(ヒロポン)が,それぞれ主流となっていたが,1988年にメタンフェタミン事犯の検挙人員が3,320人と過去最高に達したため,1989年2月13日,大検察庁に麻薬課が新設され,取締りの強化と広報活動により,1989年からメタンフ3タミン事犯を始め麻薬類事犯(「麻薬類」とは,麻薬,大麻及び向精神性医薬品を総称する用語であると韓国麻薬類犯罪白書において定義されている。)が全般的に減少するようになったとされている。1990年代になり,メタンフェタミン,大麻草のほかにコカイン及びヘロインの濫用の兆しが現れ,警戒を要するとされている。
 韓国の人口10万人当たりの麻薬類事犯数を意味する麻薬類犯罪係数は,近年は7を維持していたが,1993年に15を上回る増加現象が見られ,原因として,矯導所(日本の刑務所に相当)に拘禁されていた麻薬類事犯者の出所による犯罪活動の再開及び麻薬類濫用に対する無関心と予防活動が緩んできた点が指摘されている。