前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 平成 7年版 犯罪白書 第1編/第1章/第1節/1 

第1編 犯罪の動向

第1章 平成6年の犯罪の概観

第1節 刑法犯の概況

1 概  説

 平成6年における刑法犯に関する主要なデータは,次のとおりである。
 平成6年の主要なデータ(刑法犯)            (前年比)
 [1] 認知件数               2,426,694件(10,558件減)
     うち交通関係業過を除く件数     1,784,432件(16,718件減)
 [2] 検挙件数               1,410,106件(50,394件増)
     うち交通関係業過を除く件数      767,844件(44,234件増)
 [3] 検挙人員                974,158人(15,683人増)
     うち交通関係業過を除く人員      307,965人(10,240人増)
 [4] 発生率                  1,941     (12減)
     うち交通関係業過を除く発生率      1,427     (17減)
 [5] 検挙率                  58.1%(2.3ポイント増)
     うち交通関係業過を除く検挙率     43.0%(2.8ポイント増)
                      (警察庁の統計による。)
 I-1図は,我が国の昭和21年以降における,刑法犯及び交通関係業過を除く刑法犯の認知件数・検挙人員・発生率(認知件数の人口10万人当たりの比率をいう。以下,本節において同じ。)の推移を図示したものである(巻末資料I-1表参照)。
 刑法犯の認知件数は,主として交通関係業過の増加によって,昭和45年に193万2,401件のピークに達した後一時減少したが,50年以降はほぼ一貫して増加し,57年以降平成5年までは,2年を除いて毎年昭和21年以降の最高値を記録してきた。しかし,平成6年は,前年と比べ1万558件(0.4%)減少した。この減少は,窃盗が前年と比べ2万6,255件減少したことによるところが大である。

I-1図 刑法犯の認知件数・検挙人員・発生率の推移

 平成6年における刑法犯認知件数を罪名別に見ると,I-2図のとおりであり,窃盗が最も多く,次いで,交通関係業過,遺失物等横領を含む横領,詐欺,器物損壊等,傷害,恐喝の順となっている(巻末資料I-2表参照)。
 刑法犯の検挙人員は,昭和45年の107万3,470人が21年以降の最高であり,その後減少したが,55年から63年までは増加傾向にあった。平成元年から3年までは毎年減少したが,4年以降再び増加しており,6年は,前年と比べ1万5,683人(1.6%)増加した。交通関係業過を除く刑法犯の検挙人員は,昭和63年以降平成4年まで減少を続けていたが,5年に増加に転じ,6年は,前年と比べ1万240人(3.4%)増加した。
 平成6年における刑法犯検挙人員を罪名別に見ると,I-3図のとおりであり,交通関係業過が最も多く,次いで,窃盗,遺失物等横領を含む横領,傷害,詐欺,恐喝の順となっている(巻末資料I-2表参照)。
 平成6年の交通関係業過を除く刑法犯の検挙人員を男女別に見ると,男子が25万70人,女子が5万7,895人で,女子の占める割合(女子比)は18.8%であった。また,同年における14歳以上の男女別人口1,000人当たりの各検挙人員(人口比)を見ると,男子が4.8人,女子が1.1人となっている。

I-2図 刑法犯認知件数の罪名別構成比(平成6年)

I-3図 刑法犯検挙人員の罪名別構成比(平成6年)

 刑法犯の発生率は,昭和23年の2,004を最高にその後低下し,26年以降ほぼ横ばいが続いたが,40年代に入って交通関係業過の増加により上昇し,45年に1,863とピークを記録した。その後再び低下し,52年に最低の1,493を記録した後再び上昇傾向にある。もっとも,平成6年は,前年と比べ12低下した。また,交通関係業過を除く刑法犯の発生率は,昭和23年の2,000を最高に低下を続け,48年に1,091と最低を記録した。しかし,その後はほぼ一貫して上昇してきたが,平成6年は,前年と比べ17低下した。
 刑法犯の検挙率は,近年低下傾向にあったが,平成5年に上昇に転じ,6年は58.1%で,前年比で2.3ポイント上昇した。また,6年の交通関係業過を除く刑法犯の検挙率は,43.0%で,前年比で2.8ポイント上昇した。6年の検挙率を罪名別に見ると,殺人が95.8%(前年比0.7ポイントの低下),強盗が78.2%(同1.7ポイントの低下),放火が92.2%(同2.2ポイントの低下),強姦が91.6%(同1.0ポイントの低下),窃盗が37.7%(同2.8ポイントの上昇)となっている(巻末資料I-3表参照)。