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 平成 6年版 犯罪白書 第4編/第4章/第1節/3 

3 外国人被疑事件の処理

 IV-18図は,最近10年間の全国検察庁における外国人被疑事件の終局処理人員(交通関係業過及び道交違反を除く。以下,本節において同じ。)の推移を見たものである。平成5年における外国人被疑事件の終局処理人員は,前年より2,228人(16.5%)増加して,1万5,767人となっており,そのうち,来日外国人被疑事件の終局処理人員は1万302人で,検察庁終局処理人員総数の3.0%,外国人被疑事件終局処理人員の65.3%を占めている。

IV-18図 外国人被疑事件の検察庁終局処理人員の推移

 IV-6表は,平成5年における検察庁の来日外国人被疑事件の罪名別終局処理人員を見たものである。5年における来日外国人被疑事件の起訴率は54.4%,起訴猶予率は43.3%となっている。さらに,刑法犯(交通関係業過を除く。以下,本節において同じ。),特別法犯(道交違反を除く。以下,本節において同じ。)別に起訴率及び起訴猶予率を見ると,刑法犯では起訴率50.7%,起訴猶予率46.2%,特別法犯では起訴率56.0%,起訴猶予率42.1%となっている。これに対し,来日外国人被疑事件を含む,検察庁で処理された全事件(交通関係業過及び道交違反を除く。)の起訴率は60.3%,起訴猶予率は34.3%で,刑法犯の起訴率が54.9%,起訴猶予率が38.5%,特別法犯の起訴率が68.6%,起訴猶予率が2881%となっている。来日外国人被疑事件については,検察庁で処理された全事件に比べて,起訴率が低く,起訴猶予率が高くなっている。

IV-6表 来日外国人被疑事件の罪名別検察庁終局処理人員

 また,罪名別に起訴率を見ると,刑法犯では殺人(90.9%),強盗(88.7%),詐欺(70.0%)等において,また,特別法犯では関税法違反(85.6%),あへん法違反(84.6%),覚せい剤取締法違反(75.1%),麻薬取締法違反(70.5%)等において,起訴率が比較的高くなっている。なお,受理人員の多い入管法違反や窃盗の起訴率は,それぞれ54.0%,47.8%となっている。