本章においては，本編第2章から第5章までに述べた，我が国における「出入国管理の概況」，「外国人による犯罪の動向等」，「外国人に対する刑事処分等」及び「外国人被収容者の処遇」の各状況を，諸外国におけるそれらと比較するため，入手し得た公的資料の範囲内で，アメリカ，フランス，ドイツ，スウェーデン，連合王国及び韓国の合計6か国につき，それぞれ，「外国人の入国・在留の動向及びその背景」，「外国人による犯罪とその刑事処分の動向」及び「外国人受刑者処遇の現状」の3項目について概観する。
　各国における統計の取り方に差異があり，収集できた資料もその質・量において各国によりばらつきがあるため，我が国と各国における，外国人の入国・在留の動向，外国人による犯罪とその刑事処分の動向及び外国人受刑者の処遇の現状を正確に比較することは困難であるが，各国におけるこれらの状況の概要を知ることは，我が国における今後の外国人犯罪と外国人犯罪名に対する対応策を検討する上で意義があると考える。