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 平成 6年版 犯罪白書 第3編/第5章/第4節/2 

2 保護観察における処遇方針

 保護観察においては,保護観察対象者のもつ問題性その他の特性を,その犯罪,非行の態様,環境条秤等によって類型化して把握し,各類型ごとにその特性に焦点を当てた効率的な処遇を展開することによって保護観察を実行あらしめることを目的として「類型別処遇」を実施している。その類型の一つに,「精神障害等対象者」という区分を設けている。
 この類型に認定する項目は,次のとおりである。
 [1] 医師により精神保健法3条に規定する精神障害者であるとの診断がなされた者
 [2] 矯正施設において,精神障害者(M級)の判定がなされた者
 処遇に当たっては,保護観察が保護観察対象者の個別的な問題の把握と理解の上に立って行う個別的処遇を基調とするものであることを念頭に置き,一定の処遇指針を参考にしながら,柔軟かつ弾力的に対処することとしている。
 処遇指針は,,次のようになっている。
 [1] 精神障害の種別,現在における症状の程度,言動の傾向等の把握に努める。
 [2] 性急で刺激的な働き掛けを控え,長期的,計画的な処遇に心掛ける。
 [3] 治療への本人の動機付けを促進する。
 [4] 担当保護司,家族等との連携を密にし,緊急の場合に迅速な対応かできるようにしておく。
 [5] 必要な医療及び福祉措置が受けられるよう,精神科医,保健所,福祉事務所等との連絡調整に配意する。
 [6] 必要に応じて精神保健法の規定に基づく通報を考慮する。
 [7] 本人の適性,能力に相応する就労援助に努める。