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 平成 5年版 犯罪白書 第4編/第7章/第3節/1 

第3節 交通犯罪処遇対象者の意識

1 交通安全に対する意識

 IV-54図は,自動車を運転する際,交通事故防止のため,日ごろ気を付けている事項を複数選択させ,交通安全に対する意識を見たものである。業過群と道交群に分け,日ごろ「気を付けている」と回答した者が70%に満たない事項を中心に,実刑群と執行猶予群を比較する。

IV-54図 交通安全に対する意識

(1) 業過群
 実刑群と執行猶予群の特徴をまとめると,次のとおりである。
 執行猶予群 [1]「無理な割り込み」に気を付けている者が少ない
       [2]「飲酒しての運転」に気を付けている者が少ない
 執行猶予群の方に交通安全に対する意識が低い者が多くなっている。すなわち,「無理な割込み(無理な割込みをしない)」に気を付けている者は,実刑群では77.7%,執行猶予群では63.0%で,両群にかなりの差異が認められる。また,「飲酒しての運転(少しでも飲酒したときは運転しない)」に気を付けている者は,実刑群では62.4%,執行猶予群では52.2%となっている。
 なお,「体調不良(体の調子が悪いときは運転しない)」に気を付けている者は,実刑群,では34.0%,執行猶予群では32.6%で,いずれも30%台の低率となっている。また,「横断歩道で徐行(横断歩道では徐行し,歩行者に気を付ける)」及び「安全確認(交差点では信号に従うだけでなく安全を確かめて通る)」に気を付けている者も,両群共に,少なくなっている。
(2) 道交群
 実刑群と執行猶予群の特徴をまとめると,次のとおりである。
 実 刑 群  [1] 「飲酒しての運転」に気を付けている者がかなり少ない
        [2] 「横断歩道での徐行」に気を付けている者が少ない
 業過群の場合とは逆に,交通安全に対する意識が低い者は,実刑群の方に多くなっている。すなわち,「飲酒しての運転」に気を付けている者は,実刑群では46.0%で,執行猶予群の70.0%をかなり下回っている。また,「横断歩道での徐行」に気を付けている者も,実刑群では68.2%で,執行猶予群の78.6%を下回っている。
 なお,ここでも,両群共に,「体調不良」に気を付けている者は,30%台で非常に低い比率となっている。