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 平成 5年版 犯罪白書 第4編/第6章/第3節/2 

2 交通短期保護観察少年に対する処遇

 交通短期保護観察少年に対する処遇は,遵法精神のかん養,安全運転に関する知識の向上,安全運転態度の形成を目的として,全国一律に実施され,方法としては,2回ないし3回の集団処遇を実施するとともに,本人に対し毎月1回,自己の生活状況を書面で報告させ,車両の運転による再犯・再非行がなければ,3か月以上4か月以内の期間内に保護観察を解除することになっている。平成4年において,交通短期保護観察を終了した者は4万6,723人であるが,そのうち4万6,493人(99.5%)が解除によるものである。
 なお,6か月を超えても解除できない状態にある者に対しては,当該保護観察処分の決定をした家庭裁判所の意見を聴いて,保護観察処分少年に対するのと同様の処遇が行われる。
 IV-18表は,集団処遇の標準的な実施内容の概要を示したものであり,各庁は,これに沿って具体的なカリキュラムを定めている。

IV-I8表 交通短期保護観察集団処遇カリキュラム

 集団処遇の実際を見ると,集団討議では,具体的な違反・事故事例の研究のほか,安全運転の心構えや運転者の責任などのテーマが取り上げられ,運転適性検査・テストでは,自動車運転態度検査,法務省式人格目録,法規テストなどが行われている。また,処遇効果をより高めるために,有免許者と無免許者,業過による者と道路交通法違反による者というようにグループ分けし,それぞれの問題態様に応じた集団処遇が実施されている。平成4年における実施状況は,実施回数5,204回,実施対象延人員8万5,390人であり,1回当たりの実施対象人員は16.4人となっている。なお,集団処遇に際し,各種検査の実施について少年鑑別所の協力を得ているほか,自動車教習所,警察, BBSなとの協力を得ているところもある。集団処遇を実施する場所としては,各庁に設けられている集団処遇室のほか,保護観察所以外の公共施設などを借用しているが,IV-46図は,平成4年の実施状況を実施場所別に見たものである。

IV-46図 交通短期保護観察集団処遇実施状況(平成4年)