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 平成 5年版 犯罪白書 第4編/第6章/第1節 

第6章 交通犯罪と更生保護

第1節 概  説

 保護観察の分野においても,昭和30年代の後半から,交通関係の犯罪や非行(以下,本章において「交通事件」という。)により保護観察を受ける対象者が増加するようになり,これに対処するため,40年4月,まず,道路交通法違反によって保護観察処分に付された少年に対する取扱要領が定められた。これによって,道路交通法違反による保護観察処分少年に対しては,従来行われてきた個別処遇に加えて,講習会や座談会等の集団処遇が取り入れられるとともに,保護観察の諸手続の簡素化が図られ,保護観察の解除までに要する経過期間も一般の基準より短くなった。
 次いで,昭和45年7月,上記要領が一部改正され,道路交通法違反少年だけでなく,交通関係業過によって保護観察処分に付された少年も対象に含まれることとなった。
 さらに,昭和49年6月からは,交通事件により保護観察に付された者について,保護観察処分少年のみならず,少年院仮退院者や仮出獄者,保護観察付執行猶予者に対しても,交通事件以外の犯罪や非行(虞犯を含む。以下,本章において「一般事件」という。)による保護観察と区別した上,その特性に応じた効率的な処遇を実施することとなった。
 一方,交通事件による保護観察処分少年の新規受理人員は,昭和40年代に入ってからも増加を続け,45年以降は一般事件による保護観察処分少年のそれを上回るほどになった。そこで,法務省と最高裁判所とで協議がなされた結果,交通事件による保護観察処分少年のうち,家庭裁判所により短期の保護観察が相当である旨の処遇勧告が付された者(以下「交通短期保護観察少年」という。)については,集団処遇を中心とした特別の処遇を保護観察官が行い,特段の理由がない限り3か月以上4か月以内の期間で保護観察を解除する,という交通短期保護観察制度が,52年4月から実施された。