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 平成 5年版 犯罪白書 第2編/第3章/第3節/6 

6 恩  赦

 恩赦の効力による種類
 大赦      有罪の言渡しを受けた者について,その効力を失わせる。有罪の言渡しを受けない者については,公訴権を消滅させる。
 特赦      有罪の言渡しを受けた特定の者について,その効力を失わせる。
 減刑      刑の言渡しを受けた者について,刑を軽減し,又は刑の執行を軽減する。刑の執行猶予中の者については,刑の軽減と合わせて猶予の期間を短縮することができる。
 刑の執行の免除      刑の言渡しを受けた特定の者について,刑の執行を免除する。
 復権      有罪の言渡しを受けたため,法令の定めるところにより資格を喪失し,又は停止されている者について,その資格を回復させる。
 恩赦は,さらに,これを行う方法によって分けると,政令で罪や刑の種類,基準日等を定めて,これに該当する者に対して一律に行われる政令恩赦(大赦,減刑,復権)と,特定の者に対して個別的に審査した上で行われる個別恩赦(特赦,減刑,刑の執行の免除,復権)とがある。
 このうち個別恩赦は,更に常時恩赦と特別基準恩赦とに分けられる。前者は,常時行われ,後者は,政令恩赦が行われる際などに,同恩赦の要件から漏れた者などを対象として,内閣の定める基準により,一定の期間を限って行われる。
 個別恩赦が行われるには,まず,検察官,行刑施設の長又は保護観察所長が,職権により,又は本人の出願に基づいて,中央更生保護審査会に恩赦の上申をする。これを受けた同審査会が,審査を行い,恩赦を相当とした場合には,法務大臣に恩赦の申出を行い,法務大臣が閣議を請議し,これを受けた内閣が恩赦を決定し,次いで,天皇の認証を受け,恩赦が効力を生じる。
 常時恩赦について,平成4年に中央更生保護審査会が新たに受理した人員は113人で,これを繰越人員と合わせると204人となるが,そのうち恩赦の閣議決定が行われた人員は96人であり,同審査会が恩赦不相当とした人員は27人である。
 II-34表は,閣議決定が行われた者を,恩赦の種類・上申者別に見たものである。復権が53人(55.2%),特赦,刑の執行の免除がそれぞれ20人(各20.8%)となっている。

II-34表 常時恩赦の種類・上申者別人員(平成4年)