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 平成 4年版 犯罪白書 第1編/第1章/第2節/2 

2 各特別法犯の動向

 特別法犯のうち,交通関係及び薬物関係は本編第2章で,外国人関係は本編第4章でそれぞれ取り上げるので,ここでは,保安関係,財政経済関係,風俗関係及び労働者保護関係の各特別法犯について,その動向及び平成3年における特徴を概観する。

I-11表 特別法犯の検察庁新規受理人員

(1) 保安関係
 1-12表は,最近5年間における保安関係特別法犯の検察庁新規受理人員を見たものである。保安関係特別法犯は,全体的に減少している。
(2) 財政経済関係
 I-13表は,最近5年間における財政経済関係特別法犯の検察庁新規受理人員を見たものである。平成3年は2年に比べ所得税法違反は減少し,法人税法違反及び不正競争防止法違反は増加したが,その他の法律違反では大きな変化は見られない。
 I-14表は,最近5年間の所得税法・相続税法違反及び法人税法違反について,国税庁から検察庁に告発された告発の件数,脱漏所得額及び脱税額を,各会計年度ごとに見たものである。平成3年度においては,所得税法・相続税法違反では,告発件数,脱税額総額は前年より減少したが,脱漏所得額,告発事件1件当たりの脱漏所得額,告発事件1件当たりの脱税額はいずれも前年より増加している。法人税法違反では,それらのいずれもが前年より増加している。

I-12表 保安関係特別法犯の検察庁新規受理人員

I-13表 財政経済関係特別法犯の検察庁新規受理人員

I-14表 所得税法・相続税法違反及び法人税法違反事件の告発の件数,脱漏所得額及び脱税額

(3) 風俗関係
 I-15表は,最近5年間における風俗関係特別法犯の検察庁新規受理人員を見たものである。平成3年は,いずれの罪の受理人員も前年とほとんど変化がない。
(4) 労働者保護関係
 I-16表は,最近5年間における労働者保護関係特別法犯の検察庁新規受理人員を見たものである。労働者派遣法違反は,一定の業務以外の労働者派遣事業を行うことの禁止に関する4条違反がそのほとんどを占め,逐年増加してきたが,平成3年は前年とほとんど変化がない。また,その他の罪では,3年は,前年に比べ,労働基準法違反はやや増加したものの,労働安全衛生法違反,船員法違反,職業安定法違反は前年より減少している。
 労働基準法違反では,賃金の支払いに関する24条違反が約2割,年少者の深夜労働に関する61条違反が約4割を占め,労働安全衛生法違反では,危険防止のため事業者の講ずべき措置に関する20条及び21条違反が約6割,一定の危険業務に無資格者を就労させることの禁止に関する61条違反が約1割となっており,また,職業安定法違反では,暴力的方法あるいは有害業務に就かせる目的で行う職業紹介等に関する63条違反が約8割を占める(法務省刑事局の資料による。)。

I-15表 風俗関係特別法犯の検察庁新規受理人員

I-16表 労働者保護法規違反の検察庁新規受理人員