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 平成 3年版 犯罪白書 第4編/第5章/第3節/2 

2 更生保護会の処遇

 更生保護会は,犯罪・非行者が身柄の拘束を解かれた直後で定まった住居がないといった困窮状態から再犯に至るのを防止するため,原則として釈放後6か月以内の期間内で,一時的な居所を提供して早期の自立更生に向けて指導援助することを目的とする施設であって,釈放後6か月を超えても自立できない者については,社会福祉施設等に移行することが予定されている。
 一方,前述したところから見られるように,高年齢者の比率が上昇し,健康上の問題をもつ者の比率は年齢層が高くなるにつれて上昇している。更生保護会としては,[1]在会者の健康管理に一段の配慮をすること,[2]居室の指定についても対象者の年齢や健康状態を十分考慮に入れること,[3]諸設備についても病弱者や高年齢者向けの配慮をすること,などに努めている。しかし,実際には高齢や健康等の理由で早期に自立資金を蓄えることができず,あるいは福祉施設への円滑な移行が容易に実現しないため,6か月を超えて更生保護会に在会せざるを得ない者が相当数いることは,これまでに見てきたとおりである。今後高年齢の在会者の比率が更に高くなるとすれば,健康上の問題のある者や就労の困難な者がこれにつれて増加し,在会期間もまた長期化することが考えられる。在会期間の長期化を避けることは,更生保護会の処遇努力のみによっては達成困難であり,更生緊急保護法の適用期間を延長することの当否などを,含めて広く対策を考えていく必要がある。

IV-91表 家族との接触・通信状況

IV-92表 更生保護会在会者の退去先の見通し

IV-93表 更生保護会退会者の退去先等