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 平成 2年版 犯罪白書 第3編/第4章/第3節/1 

第3節 生活意識

1 交友関係

 III-35図は,一般,非行両群に,同性,異性それぞれの親友の数を尋ねた結果をまとめたものである。一般群と非行群との間に示される最も顕著な差は,男女共に,親しい異性の友達の有無に見られる。すなわち,「親しい異性の友達がいない」とした者が,一般群で男子47.7%,女子44.7%であるのに対して,非行群では男子9.5%,女子6.6%であり,さらに,非行群は,男女共に異性の親友数が一般群に比して多いのが特徴である。
 一方,同性の親友数について見ると,「親しい同性の友達がいない」とした者は,一般群で男子4.6%,女子4.0%であるのに対して,井行群では男子5.2%,女子6.3%であり,男女共に同性の親友がいない者は,一般群よりも非行群に多い。また,「親しい同性の友達が1入」とした者は,一般群で男子3.6%,女子5.3%であるのに対して,非行群では男子8.0%,女子14.8%である。したがって,上に述べた異性の友達の場合とは異なり,同性の友達がいないか,いても1人だけの者は,一般群よりも非行群の方に多くなる傾向がうかがえる。ただし,非行群では,男女共に,「10人以上」とする者も多いので,非行群の方が一般群に比へ同性の友達の数が少ないと一概にはいえない。

III-35図 親友の数

 次に,友達との関係をどのように認知し,友達に何を期待しているかなど友達関係の内容について見ることとする。
 男女共通して非行群の方が一般群よりも肯定する率が高いものは,「悲しいことがあったら話を聞いてもらう」(非行群男子64.9%,同女子88.3%,一般群男子36.2%,同女子81.3%),「けんかをし合える」(非行群男子29.9%,同女子49.5%,一般群男子18.4%,同女子25.0%),「何もいわなくても,わかり合えている」(非行群男子36.1%,同女子57.5%,一般群男子20.6%,同女子31.0%),「お互いの性格は裏の裏まで知っている」(非行群男子43.6%,同女子58.6%,一般群男子29.5%,同女子28.8%),「お互いに悪いところは悪いといい合える」(非行群男子54.3%,同女子70.1%,一般群男子46.4%,同女子47.1%),「お互いに張り合う気持ちがある」(非行群男子33.9%,同女子25.7%,一般群男子28.1%,同女子22.8%),「一緒にいるときでも,別々のことをしている」(非行群男子17.0%,同女子16.8%,一般群男子7.4%,同女子11.5%)などである。一方,男女共に,一般群の方が非行群よりも肯定する率が高いのは,「自分のすべてをさらけ出すわけではない」(一般群男子29.4%,同女子31.6%,非行群男子22.4%,同女子19.6%)と「つきあっているのは,何か得るものがあるからだ」(一般群男子32.1%,同女子25.1%,非行群男子18.5%,同女子21.7%)であり,さらに,男子で一般群が非行群よりも肯定する率が高いものに,「あまり深刻な相談はしない」(一般群34.6%,非行群28.9%)があり,女子で一般群が非行群よりも肯定する率が高いものに,「相手にけっこう気をつかっている」(一般群33.2%,非行群20.1%)がある。
 非行群は,友達との情緒的親密さを強く認知する傾向があるのに対して,一般群は,友達関係に一定の距離を置いている傾向がうかがえる。
 次に,III-36図は,「どんな友達が大切か」を尋ねた結果を示したものである。一般群で非行群よりも肯定する率が高いのは,男女共通して,「他の人にはいえないことを聞いてくれる人」,「興味や趣味が似ている人」と,男子の「いろいろな情報を教えてくれる人」及び女子の「困ったときに助けてくれる人」などである。反対に,非行群が一般群よりも肯定する率の高いのは,男女共通して「競争相手になって自分を伸ばしてくれる人」,男子の「困ったときに助けてくれる人」,女子の「いつもそばにいて相手になってくれる人」である。結局,「他の人にはいえないことを聞いてくれる人」,「困ったときに助けてくれる人」を合わせて60%を超えている傾向は,非行,一般両群及び男女に共通していえる結果である。

III-36図 大切な友達