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 平成 元年版 犯罪白書 第1編/第2章/第8節/2 

2 高齢者犯罪の動向

 昭和63年において,警察が検挙した刑法犯(交通関係業過を除く。)の人員は39万8,208人であるが,このうち高齢者は1万8,022人で,検挙人員の中に占める高齢者の比率は,4.5%となっている。この比率は,総人口に対する高齢者比の16.4%に比べると,まだ高いとはいえないものの,10年前の1万1,677人,3.1%に比べると,高齢者数で1.5倍,高齢者比で1.4ポイント増となっており,高齢者数の伸び率としては,人口構成の場合の1.4倍を上回っている。また,高齢者人口10万人当たりの高齢犯罪者検挙人員を見ても,10年前は81.7であったものが,63年では89.6と上昇している。
 I-55表は,昭和63年における高齢者刑法犯検挙人員を罪名別に示したものである。罪名別構成比を見ると,窃盗(72.7%)が最も高く,以下,横領(13.1%),詐欺(4.0%)などの順になっており,これを男女別に見ると,窃盗では,女子における構成比(89.7%)が男子における構成比(64.8%)と比べて極めて高いが,詐欺及び横領では,いずれも男子における構成比の方が高くなっている。他方,各罪名ごとに高齢者比をみると,実人員は少ないが,放火の7.0%が最も高く,次いで高いのは殺人の5.8%,詐欺の5.6%,窃盗の5.2%,横領の5.1%がこれに続いている。また,男女別に高齢者比を見ると,総数で男子は3.9%であるのに対して,女子は6.9%と高く,罪名別では,男子は,放火の6.3%が最も高く,以下,殺人の5.9%,詐欺の5.7%,横領の5.2%の順になっているのに対し,女子は,放火の9.8%が最も高く,以下,窃盗の7.4%,詐欺の5.1%,殺人の5.0%などの順となっている。なお,窃盗について手口別に総数中の高齢者比を見ると,万引きが7.7%,自転車盗が5.8%といずれも高い。

I-55表 高齢者の刑法犯罪名別検挙人員(昭和63年)