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 平成 元年版 犯罪白書 第1編/第2章/第7節/2 

2 ゲリラ事犯

 最近5年間におけるゲリラ事犯の認知件数の推移は,I-52表のとおりである。昭和63年においては39件であり,前年より2件増加した。そのうち,主要なゲリラ事件は次のとおりである。
 ○ 新東京国際空港管制塔に対する金属弾(爆発物)発射事件(1月18日,千葉)
 ○ 横浜防衛施設局幹部宅放火事件(1月22日,神奈川)
 ○ 航空燃料パイプライン第4保安設備室爆破事件(3月178,千葉)
 ○ 新東京国際空港公団工事局に対する金属弾発射事件(4月13日,千葉)
 ○ 新東京国際空港工事請負会社車両同時放火事件(7月4日,東京,千葉,茨城)
 ○ 千葉県収用委員会会長襲撃事件(9月218,千葉)
 ○ 千葉県警道野辺警察官派出所爆発事件(9月26日,千葉)
 ○ 最高裁判所宿舎敷地内乗用車放火ゲリラ事件(9月29日,東京)

I-52表 ゲリラ事犯認知件数(昭和59年〜63年)

 横浜防衛施設局幹部宅放火事件は,自衛隊北富士演習場反対闘争に関連して,横浜防衛施設局幹部宅玄関付近に時限式発火装置を設置して発火させ,玄関ドア,天井等を焼燬した事件である。千葉県収用委員会会長襲撃事件は,新東京国際空港反対闘争に関連して,千葉市内の路上で千葉県収用委員会会長が中核派に襲われ,鉄パイプ等で殴打されて全治6か月の重傷を負った事件であり,その後も,千葉県収用委員会の他の委員に対しては,電話等による執拗な脅迫が加えられた事実もある。最高裁判所宿舎敷地内乗用車放火ゲりラ事件は,過激派ゲリラ事件の裁判を担当する裁判官が居住する宿舎の敷地内に駐車中の乗用車2台を,時限式発火装置を使用して全焼させた事件であって,これらは,過激派による個人に対するテロ攻撃拡大の事例として見逃せないものである。
 その他の5件は,いずれも,新東京国際空港反対闘争に関連する事件であり,同空港工事請負会社車両同時放火事件を除いて,本格的な爆発物や発射装置を使用した事件である。