前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和37年版 犯罪白書 第一編/第五章/二/1 

二 犯罪者中の累犯者,再犯者

1 警察の検挙人員からみた再犯者,累犯者

 まず,犯罪統計書によって昭和二九年以降の刑法犯検挙人員を初犯・再犯別にみると,I-81表のとおりである。ここでいう再犯とは,罪を犯して警察に検挙されたことのある者がその後再び罪を犯して検挙された場合をさしている。したがって,再犯者の範囲としては最も広い意味をもつものである。

I-81表 刑法犯成人・少年別および初犯・再犯者別検挙人員と率(昭和29〜35年)

 これによると,成人の刑法犯検挙人員中の再犯者の占める割合は,昭和二九年以降わずかずつではあるが上昇の傾向を示し,昭和三四年には三七・七%となったが,沼和三五年にはやや減少して三六・七%となった。これに対して少年は,昭和三一年の三〇・九%をピークとしてそれ以降はやや下降の傾向を示し,昭和三五年には二八・九%となっている。
 ここにいう再犯者は,必ずしも刑罰に処せられたものに限らず,かつて警察に検挙されたことがあればそれだけで再犯者となるわけだが,この意味の再犯者のなかから罰金以上の刑に処せられたことのある者だけを選び,いわゆる前科者がどれだけあるかを調べてみると,I-82表のとおり,昭和三五年には前科のあるものが二二・八%である。これを男女別にみると,検挙人員総数のうちで女子の占める割合は,六・二%にすぎないが,女子の検挙人員のうち六%が前科者であり,男子の二三・九%に比して著しく低率である。また犯数別にみると,女子では前科一犯のものが前科者総数の五五・三%を占めているのに対して,男子では四三・一%を占めいるから,犯数の多い者が男子は女子に比して多いといえる。

I-82表 刑法犯被疑者の男女別・前科別人員と率(昭和35年)