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 昭和63年版 犯罪白書 第4編/第5章/第1節/3 

3 多数回受刑仮出獄者の帰住地

 犯罪を繰り返す者は,次第に親族から見放され,友人・知人の信頼を失い,また,世間一般からも背を向けられることになる場合が多いが,そのような環境の変化は,これらの犯罪者の社会復帰をより困難なものとする結果となっている。そのため,保護観察所においては,受刑者の引受人等についての環境調整の努力を重ねているところであるが,その調整は困難な場合が多く,一般的に言って,受刑者は,入所度数を重ねるに従って更生保護会帰住への志向を強めていくことになる。
 昭和61年の仮出獄者のうち更生保護会に帰住した者の比率は,全体では25.4%であるが,入所度数別に見ると,初度の者では15.3%であるのに対し,2度以上5度以下の者では33.8%,6度以上の者は59.4%となっている。このように更生保護会は,多数回受刑仮出獄者等に,再出発の起点となる帰住地を提供することにより,その更生のための大きな役割を演じている。