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 昭和63年版 犯罪白書 第4編/第3章/第6節/1 

1 予後が良好な多数回前科者の現状

 10犯以上の犯歴を有する多数回前科者のうち,最終刑時からの期間が5年を超えた者は1万9,222人(42.0%)である(IV-23表参照)。既に第2節で述べたように,最終刑時からの経過年数を犯数別に見ると,犯数が増えるに従って比較的短期間に再犯を犯す者が多く,更生が困難になることが示されている。これに対して,年齢層別に最終刑時からの経過年数を見ると,IV-41表のとおりである。全般的に若年層ほど最終刑時からの経過期間は短く,5年を超えた者の比率は,30歳代では10.0%にすぎないが,40歳代前半の者では18.4%,同後半では29.8%,50歳代前半では44.0%,同後半では57.3%,60歳代では65.1%,70歳以上では72.8%となっており,40歳以後高齢化とともに再犯に陥る者は顕著に減少していることがうかがえる。しかしながら,高年齢であっても前科が極めて多い場合は,概して予後は不良となり,作表はしていないが,60歳代について見ると,最終刑時からの期間が5年を超えている者の比率は,10犯から14犯までの者では69.4%に達しているが,15犯から19犯までの者では53.6%,20犯以上の者では38.1%へと次第に低下している。

IV-41表 多数回前科者の調査時年齢層別最終刑時から再犯をしないで経過した年数