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 昭和63年版 犯罪白書 第4編/第3章/第2節/1 

1 初犯時の年齢

 まず,多数回前科者が最初に裁判を受けた時の年齢を犯数別に見ると,IV-24表のとおりである。総数では,20歳未満の者が15.7%,20歳から24歳までの者が61.3%であって,25歳未満の者は合計77.0%にも上っている。そして,25歳から29歳までの者が12.8%で,30歳以上の者は10.2%となっており,25歳以上の者は多数回前科者の中では比較的少数である。これと対比するために,「50万人犯歴」によって,前科1犯ないし9犯の者の初犯時年齢層を見ると,20歳未満の者が2.1%,20歳から24歳までの者が31.6%であり,25歳未満の者の合計は総数の33.7%にすぎないものである。「50万人犯歴」によることとしたのは,9犯以下の者のデータが膨大で,そのコンピュータ処理には物理的困難が伴うためであるが,50万人という多くの対象者を無作為に抽出したものであるので,十分に全前科者を代表し得るものと認められる。
 このように,前科10犯以上を有する者においては,若年時に初犯の裁判を受けている者の比率が極めて高いことに特徴がある。そして,犯数別に見ると,前科10犯から19犯までの者については,その初犯時における年齢層の比率にそれほどの差異はないが,20犯以上の者では,25歳以上の比較的高年齢で初犯の裁判を受けた者の比率が高くなっている。これらの者には,営業犯的な犯行を重ねて罰金刑の裁判を受ける者が多く,年齢が進んでがら違法な営業的行為に関与するに至る者が含まれているためと思われる。
 なお,多数回前科者が,初犯時の裁判を受けた年代を見ると,昭和25年以前が22.1%,26年から29年が15.0%,30年から34年までが23.7%,35年から39年までが19.0%,40年から44年までが12.8%,45年から49年までが5.0%,50年以降が2.3%となっているが,25年以前においては,少年法の適用を受けるのは18歳未満の者であり,18歳及び19歳の者は成人として取り扱われていたことにも留意する必要があろう。

IV-24表 多数回前科者の犯数別初犯時年齢層の構成比

IV-25表 多数回前科者の初犯