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 昭和63年版 犯罪白書 第4編/第3章/第1節/1 

第1節 概  況

1 犯数別前科者の分布

 前科10犯以上を有する者が,前科者全体においてはどのような位置を占めているかを明らかにするために,電算化犯歴に入力されている昭和61年12月末日現在の全前科者から50万人を無作為に抽出したデータ(以下「50万人犯歴」という。)によって,その犯数別の人員及び犯歴数(本章において「犯歴」とは,前科のことをいう。)の比率の分布を見たのがIV-18表である。前科1犯の者が全人員の73.3%と圧倒的多数を占めており,2犯以上の者の比率は合計しても26.7%にすぎず,多くの者は前科1犯で犯罪から遠ざかるものであることを示している。前科2犯から9犯までの者の比率は25.9%で,10犯以上の者は0.8%を占めるのみであり,10犯以上の者の全前科者中に占める比率はそれほど多くないと言うことができる。これらの者の有する犯歴数を見ると,全人員の73.3%を占める前科1犯の者の犯歴数合計は全犯歴数の44.2%にとどまり,2犯から9犯までの者では49.6%,10犯以上の者では6.2%を占めており,この両者で全犯歴数の55.8%を占める。つまり,26.7%の者で,全犯歴数の半数以上を占めていることになる。これら犯歴の多い者の存在は軽視し得ないものがあると言えよう。

IV-18表 50万人犯歴による犯数別人員・犯歴数

 次に,「50万人犯歴」によらないで,昭和62年5月12日現在の我が国における,道交関係罰金前科を除く前科10犯以上の多数回前科者全員の実人員を電算化犯歴によって見ると,4万5,755人となっており,その犯数別人員と犯歴数はIV-19表のとおりである。実人員では,前科10犯の者が1万3,030人で最も多く,以下,11犯が9,090人,12犯が6,347人,13犯が4,610人,14犯が3,349人,15犯が2,409人となるなど,犯数が多くなるにつれて該当人員が減少していく。その中でも,前科20犯以上の者は2,291人と少なく,゜さらに,30犯以上の者は247人,40犯以上の者は61人にとどまっている。最多前科は89犯(1人)で,次に多いのが76犯(1人)である。

IV-19表 電算化犯歴による多数回前科者の犯数別人員・犯歴数