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 昭和61年版 犯罪白書 第4編/第3章/第1節 

第1節 総  説

 IV-8表は,被害者が個人である場合について,昭和47年以降の13年間における主要刑法犯(本節においては,殺人,強盗,放火,強姦,暴行,傷害,脅迫,恐喝,窃盗,詐欺,横領,背任,強制猥褻,逮捕監禁,略取・誘拐及び器物損壊をいう。)の被害者数の推移を,男女別に見たものである。
 男子では,被害者数が昭和47年の93万1,101人がら59年の96万6,335人へと3.8%増となっているが,被害発生率では47年の1,762.7から59年の1,633.6に低下している。これに対し,女子では,被害者数が47年の25万1,859人から59年の40万7,775人へと61.9%増となっているばかりか,被害発生率でも47年の459.8から59年の667.6へと上昇している。これを主要罪名について見ると,殺人,強盗,傷害,恐喝の各罪による被害は,男女共に被害者数,被害発生率のいずれについても47年から59年の間に減少又は低下していく傾向にあるが,窃盗及び詐欺については,男子の被害発生率は低下しているのに対し,女子の被害発生率は逐年上昇していく傾向が認められる。また,被害者を年齢層別で見ると,被害発生率では,60歳以上の高齢者が47年の852.6から59年の616.3へと低下しているのに対し,未成年者は47年の324.9から59年の568.7へと上昇している。特に,女子未成年者では,粗暴犯である傷害及び恐喝による被害が,被害者数で47年の748人から59年の1,624人へと2.17倍の増加を見せており,被害発生率でも47年の4.4から59年の9.4へと著しい上昇傾向を見せている。

IV-8表 主要刑法犯の男女別被害者数の推移