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 昭和61年版 犯罪白書 第4編/第2章/第2節/2 

2 強盗被害の地域的特性

 IV-3表は,昭和50年代における強盗事犯の年間平均認知件数と発生率を都道府県別に見たものである。
 まず,強盗発生率の高い順に上位5都府県を挙げると,沖縄9.16,東京3.89,神奈川2.37,福岡2.35,京都2.32となっており,なかでも沖縄は,他の都府県に比べて極めて高くなっている。また,2位から5位までの都府県は,人口250万人以上の地域で占められている。なお,全国平均の1.87を上回った地域は,上記5都府県のほかには,大阪,千葉,北海道の3道府県にとどまり,一部の地域に集中的に発生していることを示している。逆に,低い方の5県を見ると,山形0.53,富山0.75,秋田0.76,宮崎0.81,奈良0.83で,人口130万人未満の比較的人口の少ない地域となっている。最も強盗発生率の低い山形に比べると,沖縄は17.3倍,東京は7.3倍となっており,地域差が極めて大きいことが分かる。もっとも,沖縄の強盗発生率を,最近3年間に限定して見ると,57年4.68,58年4.71,59年には4.13と減少している。
 IV-2図は,強盗発生率を,都道府県別に見た地図である。
 次に,地域的特性を見るために,人口による3類型に基づいて,強盗発生率を比較すると,大都市型2.75,周辺型1.67,地方型0.93の順となっており,大都市型は地方型の3.0倍である。このことから,強盗は人口の集中した大都市に多く発生すると同時に,一部地域に片寄って多発していることが分かる。