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 昭和61年版 犯罪白書 第2編/第2章/第1節/3 

3 被疑事件の処理

 II-3表は,昭和60年における検察庁の終局処理人員を罪名別に見たものである。終局処理人員総数は,前年より338人増加して344万7,436人である。終局処理区分別に見ると,公判請求が13万8,874人(4.0%),略式命令請求が242万2,250人(70.3%),起訴猶予が23万6,364人(6.9%),その他の理由による不起訴が5万5,058人(1.6%),家庭裁判所送致が59万4,890人(17.3%)となっている。次に罪名別構成比を見ると,道交違反が69.5%と最も高く,交通関係業過の15.7%がこれに続いている。この両者を除いた罪名別構成比では,窃盗の42.2%を筆頭に,以下,傷害の6.5%,覚せい剤取締法違反の6.2%,横領の5.2%,詐欺の4,1%などの順となっている。
 II-4表は,最近3年間における罪名別の起訴率及び起訴猶予率を見たものである。全事件について見ると,昭和60年の起訴率は,59年と同率の89.8%で,起訴猶予率は,59年の8.3%から0.1ポイント上昇して8.4%となっている。また,交通関係業過を除く刑法犯について見ると,60年の起訴率は60.1%で前年より0.3ポイント上昇し,起訴猶予率は34.4%で前年より0.2ポイント下降している。
 起訴率を罪名別に見ると,いずれの年次においても,道交違反が最も高く(昭和60年は97.0%),以下,覚せい剤取締法違反(同89.1%),傷害(同83.0%)の順となっており,その他,暴力行為等処罰法違反(同80.6%),強盗(同78.7%),銃砲刀剣類所持等取締法違反(同74.4%),贈収賄(同72.5%)なども高くなっている。
 起訴猶予率を罪名別に見ると,昭和60年では,窃盗が最も高く43.8%で,以下,詐欺の28.7%,恐喝の26.6%などの順となっており,最も低いのは道交違反の2.7%である。
 次に,最近5年間における交通関係業過及び道交違反を除く不起訴処分人員を理由別に見ると,II-5表のとおりである。昭和60年における不起訴人員総数は9万7,096人で,前年より1万464人減少している。起訴猶予の比率は80.0%で,嫌疑なし・不十分の比率は12.7%となっている。心神喪失で不起訴となった者は前年より14人増の442人であるが,比率では0.5%である。

II-3表 罪名別検察庁終局処理人員

II-4表 罪名別起訴・起訴猶予率

II-5表 不起訴処分における理由別人員