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 昭和60年版 犯罪白書 第4編/第4章/第3節/2 

2 更生保護会

 犯罪や非行に陥った者のなかには,頼るべき家族や縁故者がいないとか,適当な宿泊所がないとか,あるいは不良集団からの離脱が困難であるとかなど,社会復帰をするに当たって環境条件に恵まれない者が少なくない。これらの者を保護施設に起居させ,就業を援助し,個別的に又は団体生活を通じて生活指導をするのが,更生保護会という民間団体である。
 更生保護会の施設数及び収容定員は,昭和59年4月1日現在,それぞれ101施設(施設を二つ有する1団体を含む。), 2,548人であり,収容定員について男女別に見ると,男子2,454人,女子94人,また,成人・青少年別に見ると,成人2,003人,青少年545人である(法務省保護局の資料による。)。
 これらの施設においては,保護観察所から委託された者などに対して,宿泊供与,食事の給与,就職の援助,相談・助言等の保護を行っているが,法定の委託期間(6か月)が経過してもなお保護の必要な者などに対しては,更生保護会独自の判断に基づいて任意に保護する場合も少なくない。
 IV-77表は,前述のような保護観察所による委託収容保護と更生保護会の判断による任意収容保護とに分けた上,収容保護の状況を見たものである。同表によれば,収容保護実人員は,昭和54年の9,057人から58年の9,714人と657人(7.3%)増加するなど,逐年増加傾向にあり,これに伴って,収容率も52.4%から55.6%に上昇している。また,任意収容保護については,やや低下傾向にあるが,それでも5年間を通じて14%ないし17%台を占めている。
 なお,更生保護会には,幹部職員として主幹及び補導主任が配置され,被収容者に対する生活指導や縁故者等に対する環境調整などの処遇に従事している。

IV-77表 更生保護会の収容保護状況(昭和54〜58各会計年度)