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 昭和60年版 犯罪白書 第2編/第3章/第3節/1 

第3節 未決拘禁者等の処遇

1 未決拘禁者の処遇

 未決拘禁者は,拘置所若しくは拘置支所,又は刑務所の特別区画である拘置区に収容されるが,いわゆる代用監獄(警察官署附属の留置場)に拘禁される場合もある。
 II-35表は,最近3年間の未決拘禁者の行刑施設への人出所人員を見たものである。昭和59年の入所人員は,6万7,026人であり,前年に比べて,被告人で1,940人の増加となっており,被疑者では,1,224人の減少となっている。
 なお,代用監獄に拘禁された者の数は,国が都道府県へ償還した昭和59年度における拘禁費用の実績により算出すると,1日平均収容人員で,6,025人となっている。

II-35表 未決拘禁者の入出所人員(昭和57年〜59年)

 未決拘禁者の処遇は,逃走及び証拠隠滅を防止するとともに,被疑者又は被告人としての防御権を尊重しつつ,適正な収容生活を確保するよう行われている。居房は,原則として独居房であり,雑居房に収容される場合でも,同一事件に関係のある者は居房を別にし,居房外においても接触の機会がないよう配慮されている。
 衣類及び寝具は,自弁が原則であり,糧食や日用品についても,規律及び衛生に害のない限り,かなり広範囲にわたり自弁が認められている。
 また,面会及び通信についても,管理上やむを得ない場合を除いては,その相手方及び回数に制限はない。特に,弁護人との面会については,立会人を付けないこととされている。
 なお,通信の内容については,検閲が行われる。また,図書,雑誌及び新聞紙については,未決拘禁の目的に反せず,かつ,施設の規律を害するおそれのない限り,その閲読が許されている。
 その他,未決拘禁者には就業の義務はないが,本人の願い出に基づいて作業が許され,就業者には作業賞与金が支給される。