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 昭和60年版 犯罪白書 第1編/第3章/第2節/3 

3 保護観察

 昭和59年に全国の保護観察所が新たに受理した女子の保護観察対象者は,保護観察処分少年2,824人(前年比12.8%増),少年院仮退院者698人(同26.9%増),仮出獄者982人(同19.2%増),保護観察付執行猶予者606人(同9.4%増)である。
 昭和59年の女子新規受理人員を罪名・非行名別に見ると,保護観察処分少年では,窃盗が642人(22.7%)と最も多く,次いで,虞犯の596人(21.1%),覚せい剤取締法違反の377人(13.3%),毒物及び劇物取締法違反の335人(11.9%)の順となっている。少年院仮退院者では,虞犯が276人(39.5%)で最も多く,覚せい剤取締法違反の154人(22.1%),窃盗の119人(17.0%)がこれに次いでいる。仮出獄者について見ると,覚せい剤取締法違反が507人(51.6%)で首位を占め,以下,窃盗231人(23。5%),詐欺94人(9.6%),殺人63人(6.4%)の順となっている。保護観察付執行猶予者では,覚せい剤取締法違反が336人(55.4%)で,仮出獄者と同様第1位を占めており,窃盗の148人(24.4%)がこれに次いでいる。
 昭和59年に保護観察を終了した女子の総人員は4,308人である。I-62表は,対象者の種類別に,女子の保護観察終了時の状況を見たものである。保護観察処分少年では,解除が72.6%を占め,保護処分の取消しを受けた者は11.0%である。少年院仮退院者では,退院が31.1%,満齢及び満期が54.4%,戻し収容及び保護処分取消しが14.3%である。仮出獄者では,期間満了が95.1%と極めて高く,仮出獄取消しは4.6%にすぎない。保護観察付執行猶予者では,期間満了が72.6%であり,執行猶予取消しが26.7%である。この比率を第2編第4章第2節の保護観察の実施結果と比較すると,女子の保護観察終了状況は,男子よりも良好な結果を示しているといえる。

I-62表 女子の保護観察終了時の状況(昭和57年〜59年)

 女子の保護観察対象者に対する処遇では,特に,家族関係の調整,精神的・経済的自立の援助,性の問題や家庭管理能力の問題に関する助言などに重きを置いた指導・援助が行われている。なお,昭和59年4月1日現在,女子を保護対象とする更生保護会は,全国に10か所ある。