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 昭和60年版 犯罪白書 第1編/第2章/第7節/2 

2 精神障害のある犯罪者の取扱い

 (1) 刑法による取扱い

I-42表 刑法犯検挙人員中精神障害者の罪名別人員(昭和59年)

 I-43表は,犯罪を犯した精神障害者のうち,検察の段階で心神喪失(精神障害のために,行為の是非善悪を弁別することができないか,その弁別はできても,それに従って行動する能力がない状態をいう。)を理由として不起訴処分に付された者及び裁判で心神喪失を理由として無罪とされた者又は心神耗弱(精神障害のために,行為の是非善悪を弁別する能力又はその弁別に従って行動する能力が著しく低い状態をいう。)と認められて刑を減軽された者の数を,最近5年間について見たものである。昭和59年においては,心神喪失を理由とする不起訴人員は428人,無罪人員は9人となっている。

I-43表 心神喪失・心神耗弱者の人員(昭和55年〜59年)

 (2) 精神衛生法による取扱い
 I-44表は,最近5年間における「精神衛生法の規定により,一般人及び警察・検察・矯正・保護の各犯罪者処遇の機関などから都道府県知事に対する,精神障害者又はその疑いがある者の発見に基づく申請又は通報」の数(ただし,一般人及び警察からの通報の対象者は犯罪者に限らない。),「精神衛生鑑定医によって,精神障害者と認定された対象者」の数及び「医療及び保護のために入院させなければ自傷他害のおそれがあるとして,都道府県知事により入院措置がとられた対象者」の数を見たものである。総数は,逐年,減少傾向を示し,昭和59年では,申請・通報件数は6,952件,認定された精神障害者数は4,911人,措置入院者数は3,060人となっている。

I-44表 精神衛生法による申請・通報件数及び精神障害者数(昭和55年〜59年)