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 昭和58年版 犯罪白書 第4編/第2章/第3節/2 

2 観  護

 IV-6図は,昭和24年以降における少年鑑別所入所人員と1日平均収容人員の推移を示したものである。入所人員は,26年の4万3,014人を最高に,43年まで3万人台が続いていたが,その後49年には1万1,560人まで減少した。しかし,50年以降漸増して,57年は2万2,588人となり,IV-32表のとおり,前年と比べ691人,3.2%の増加となっている。
 また,1日平均収容人員について見ると,昭和26年以降42年までは,おおむね2,000人前後を推移していたが,46年以降は1,000人以下となり,49年は593人と最低値を示した。しかし,その後増加を続け,57年は1,239人となり,前年より36人,3.0%の増加となっている。

IV-6図 少年鑑別所入所人員及び1日平均収容人員の推移(昭和24年〜57年)

IV-32表 少年鑑別所入所人員及び1日平均収容人員(昭和56年,57年)

 一方,昭和57年における退所人員は,IV-33表のとおり2万2,456人であり,退所事由は,保護観察の7,838人が最も多く,次いで,少年院送致の5,263人,試験観察の3,324人の順になっている。
 少年鑑別所における処遇の原則は,少年を明るく静かな環境に置き,少年が安んじて審判を受けられるようにし,そのありのままの姿をとらえて資質の鑑別に役立てることである。このため,少年鑑別所における観護処遇は,少年の身柄の確保,心情の安定を図るほか,生活管理上必要な処遇を行いながら,行動観察等を通じて鑑別に必要な情報の収集を行っている。特に,近年,観護措置による収容少年の精密な鑑別に役立てるため,処遇の一環として「探索処遇」を試行している。これは,観護と鑑別の有機的連携のもとに,個々の収容少年の特性等を考慮しつつ,作文,読書,はり絵,絵画,粘土細工,心理劇,集団討議等の処遇を実施して,少年の問題性,改善可能性等を把握し,その結果を鑑別に反映させようとするものである。

IV-33表 少年鑑別所退所事由別人員(昭和56年,57年)

 なお,観護処遇の一層の適正化を図るため,施設間の不合理な処遇格差を是正する観点から,観護処遇の標準化作業を全国的に推進している。