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 昭和58年版 犯罪白書 第2編/第2章/第3節/1 

第3節 被害者像の特質

1 被害者の属性

 調査対象被害者を性別・年齢層別に見ると,II-44表のとおりである。
 まず,殺人における被害者の性別では,男子が女子の2倍強の67.0%を占めている。被害者の年齢層は,30歳代が最も多く30.5%を占め,次いで40歳代の20.9%となっているが,10歳未満の被害者も全体の13.4%を占めている。

II-44表 被害者の性別・年齢層(全国)

II-45表 被害者と犯人の面識(全国)

 次に,強盗について見ると,被害者の性別では,殺人と異なって,男女ほぼ同数であり,年齢層では,20歳代が25.0%と最も多く,30歳代の19.9%がこれに次いでいる。
 強姦の被害者の年齢層では,20歳代が40.0%と最も多く,これに次ぐのが10歳代の34.2%であり,この両者を合わせると74.2%に達し,殺人,強盗に比べて被害者が若年層に集中していると言える。
 次に,被害者と犯人との面識の有無について見ると,II-45表のとおりである。
 殺人では,犯人と面識を有する被害者の比率が88.7%と,強盗,強姦に比べて極めて高く,そのうち,被害者と犯人が親族関係にあるのは全体の36.0%である。犯人と面識のない被害者も10.7%存在するが,これは,すべてが通り魔犯罪的な事案を意味するわけでなく,飲食店などでの酩酊後の口論による事案も含むものである。
 強盗では,犯人と面識を有しない被害者が88.3%と殺人と比べて極めて高い比率となっている。強姦でも,犯人と面識を有しない被害者の占める比率が71.1%と最も高くなっている。