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 昭和57年版 犯罪白書 第3編/第1章/第2節/6 

6 家庭と非行

 非行少年の家庭の保護者及び経済状況について見ると,III-23表及びIII-24表のとおりである。実父母がそろい,経済的に普通以上の家庭の少年が約8割を占めている。このように,最近における非行少年は,いわば一般家庭の子弟が大半を占めており,非行の一般化という現代型非行の特質を示している。
 家庭は,少年の成長と教育にとって基本的な環境であり,少年非行との関連が古くから着目されてきた。しかし,最近においては,家庭を少年非行の背景という観点からだけではとらえ切れない状況が現出している。例えば,家庭そのものを犯行の場とする家庭内暴力事件が多発し,社会の関心を集めている。

III-23表 一般保護少年の保護者の状況別構成比(昭和40年,50年,54年,55年)

III-24表 一般保護少年の保護者の生活程度別構成比(昭和40年,50年,54年,55年)

III-4図 家庭内暴力少年の学職別構成比(昭和56年)

III-5図 家庭内暴力の対象別構成比(昭和56年)

 III-4図及びIII-5図は,昭和56年中に,少年相談や少年の補導活動を通じて警察が把握した家庭内暴力少年1,194人について,学職別構成比及び暴力の対象別構成比を見たものである。学職別では,中学生が最も多く,総数の約4割を占めている。暴力の対象別では,母親が62.0%で最も多く,父親が16.2%でこれに次いでいる。