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 昭和57年版 犯罪白書 第3編/第1章/第2節/4 

4 集団による犯行

 非行少年の共犯率及び非行集団加入率を最近5年間について見ると,III-18表のとおりである。昭和56年における共犯率は54.7%であり,非行集団加入率は8.5%である。5年間の推移を見ると,共犯率は上昇傾向にあり,少年非行の特質である犯行におけるグループ化が一層顕著になってきているが,他方,非行集団加入率が5年間を通じて1割前後にとどまっていることから,友人,仲間同士の非組織的・流動的な結合関係に基づく一時的な共犯形態が多くなっているように思われる。
 暴走族は,現代の非行集団を代表するものの一つであるが,III-19表は,最近5年間における暴走族のグループ数,構成員数及び構成員中に占める少年の比率を示したものである。グループ数及び構成員数は,昭和55年から急激に増加し,56年11月末現在で770グループ,4万629人と過去最高の数値を示している。また,構成員中に占める少年の比率は依然として高く,56年11月末で78.3%であるが,55年をピークとして減少に転じていることが注目される。

III-17表 少年凶悪犯及び粗暴犯の罪名別検挙人員及び少年比(昭和52年〜56年)

III-18表 非行少年の共犯・非行集団との関係(昭和52年〜56年)

III-19表 暴走族のグループ数・構成員数及び構成員中に占める少年の比率(昭和52年〜56年)

 III-20表は,最近5年間における暴走族少年に対する検挙・補導状況な見たものである。昭和56年における検挙・補導人員は,刑法犯,特別法犯及び虞犯・不良行為のいずれにおいても前年より減少しているが,非行名で見ると,刑法犯のうちの放火が,前年の4人から33人へと急増しているのが特徴的である。

III-20表 暴走族少年に対する検挙・補導状況(昭和52年〜56年)