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 昭和56年版 犯罪白書 第4編/第3章/第2節/3 

3 少年司法の運用

 このような少年司法制度がどのように運用されているかを示す体系的な統計資料はほとんどないが,若干の資料によると,次のとおりである。
 警察に検挙された少年の処理状況を見ると,IV-73表のとおり,1977年において総数約178万人のうち,警察限りで処理された者が38.1%,刑事裁判所への送致(共同管轄事件)が3.9%などであり,少年裁判所へ送致された少年は約半数の53.2%である。警察限りの少年処遇は実務上伝統的に行われており,「少年司法・非行防止に関する国家諮問委員会」の「少年司法運営基準」(1980年)は,少年非行防止に関する警察の責務の重要性を根拠として,この実務を認めている。

IV-73表 警察に検挙された少年の処理状況アメリカ(1977年)

 少年裁判所の処分別人員の統計がないため,施設拘禁中の人員及び保護観察に付されている人員を全アメリカ及び主要2州について見ると,IV-74表のとおりである。全アメリカで拘禁中の少年は,1975年6月30日現在で約4万7,000人であり,このうち,審判待ち又は移送待ちで短期収容所(deten-tion center),少年鑑別センター(reception or diagnostic center)等に収容中の少年が,約1万3,000人(27.1%)を占めている。これに対し,保護観察に付されている少年は,1976年9月1日現在で約33万人である。

IV-74表 少年拘禁施設の種類別収容人員(1975年)と保護観察人員(1976年)アメリカ(1975年・1976年)