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 昭和56年版 犯罪白書 第3編/第2章/第3節/6 

6 保  安

 行刑施設の安全と秩序を維持する作用は,収容者処遇が円滑に行われるための基礎となるものである。近年,行刑施設における暴力団関係受刑者の増加には,顕著なものがある。III-54表は,最近3か年の各年末における受刑者中に占める暴力団関係者の数及び比率である。昭和55年末には,受刑者数は前年に比べて,若干減少したにもかかわらず,暴力団関係者は増加しており,受刑者4人に1人以上が,暴力団関係者となっている。暴力団関係者は,ややもすると,社会での派閥間の対立・抗争を施設内に持ち込んだり,施設内で結束して派閥の勢力を拡大しようと企てたり,集団を形成して職員に反抗し,他の受刑者を威圧したり,あるいは他の集団と反目対立して重大な事故を招きやすい。暴力団関係者の処遇には,必要に応じて分散収容を行い,保安及び警備を厳重にして厳正な態度をもって対処するほか,暴力団関係組織からの離脱について,関係機関とも緊密な連携を保って,必要な措置をとるなどの施策が講じられている。
 III-55表は,行刑施設において発生した逃走等の主要な事故の発生状況を示すものである。昭和55年の事故発生件数は17件で,45年当時と比較して著しく減少している。

III-54表 暴力団関係受刑者数(昭和53年〜55年各12月31日現在)

III-55表 行刑施設事故発生状況(昭和45年,50年,53年〜55年)