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 昭和56年版 犯罪白書 第1編/第4章/第2節/1 

第2節 量刑の推移

1 概  況

 各罪名の量刑の推移を,大きな流れでは握するため,昭和31年以降を5年ごとにまとめて,自由刑についての実刑の平均刑期及び罰金の平均額を見たのが,I-86表である。実刑の平均刑期について見ると,凶悪犯のうち,殺人では,31年以降の5年間は72.8か月であったが,51年以降の5年間では74.5か月となっている。強盗致死傷では,46年以降の5年間が72.8か月と最も長かったが,51年以降の5年間では68.1か月と下降している。強盗では,36年以降の5年間が50.7か月と最高であったが,その後は次第に下降し,51年以降の5年間では47.7か月となっている。粗暴犯の傷害及び恐喝,財産犯の窃盗及び詐欺では,いずれも,31年以降の5年間を最低に,以後上昇してきている。業務上過失致死では,31年以降の5年間の6.4.か月を最低に上昇を続け,51年以降の5年間では13.1か月となっているが,業務上過失致傷では,各期間で起伏があり,一定の傾向は認め難い。

I-86表 罪名別平均刑期及び平均罰金額

 次に,罰金の平均額について見ると,傷害では,昭和31年以降の5年間の4,300円から大幅に増加し,51年以降の5年間では4万5,300円となっている。暴行では,31年以降の5年間の2,700円から51年以降の5年間の2万9,300円に増加している。賭博では,31年以降の5年間が3,400円であったのが,51年以降の5年間では5万6,300円に増加している。業務上過失致死では,31年以降の5年間が2万5,600円であったのが,その後増加し,51年以降の5年間では14万9,700円となっている。業務上過失傷害では,31年以降の5年間の8,200円から51年以降の5年間の5万800円へと増加している。