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 昭和55年版 犯罪白書 第2編/第3章/第2節/8 

8 女子受刑者の処遇

 女子受刑者を収容する施設としては,栃木・和歌山・笠松・麓の各刑務所及び札幌刑務所内の独立した女区の5施設がある。女子受刑者は,その特性により,また,少数であることもあって,施設ごとの特殊・専門化は行われず,配偶者や子らとの保護関係の維持・調整のために,原則として,受刑者の居住地に近い施設に収容されている。
 女子施設における処遇は,その特性を考慮して,情緒の安定性を養うこと,家庭生活に関する知識及び技能を習得させること,保護引受人の確保に努めることなどが,処遇の重点事項とされている。また,開放的なふんい気で,収容に伴う心理的な圧迫感を少なくするように配慮されている。
 女子受刑者に対する職業訓練も活発に実施されている(II-45表参照)。
 これらの生活指導,職業訓練とともに,女子受刑者の医療及び母子衛生に特別の配慮が払われている。特に,受刑者が妊産婦である場合には,出産は原則として外部の病院で行わせるなど,特別の保護的措置がとられている。更に,受刑者が1歳未満の実子を伴う場合には,その乳児を刑務所内の保育室で1歳になるまで育てることも許されている。1歳を超えた乳児は,一般の乳児施設又は保護者の下に預けられる。