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 昭和54年版 犯罪白書 第3編/第2章/第2節/3 

3 鑑別状況

III-45表 少年鑑別所の鑑別受付人員及び構成比(昭和51年〜53年)

III-46表 交通事犯少年鑑別実施人員(昭和51年〜53年)

 昭和53年における少年鑑別所の鑑別受付人員は,III-45表のとおり,4万8,994人であり,前年に比べて,8,618人,21.3%の増加となっている。これは,入所人員の増加に伴う家庭裁判所関係自所収容の2,194人,法務省関係の2,675人及び一般の4,369人の増加によるものである。最近3年間の比較において,法務省関係のうち,保護の受付人員の増加が顕著である。
 昭和53年の鑑別受付人員のうち,交通事犯により鑑別を実施した人員は,III-46表のとおり,1万1,593人で,前年に比べて1,508人,15.0%の増加となっている。また,その種類別内訳を見ると,家庭裁判所関係の収容,在宅が共に減少し,交通事犯少年を収容して行う鑑別が少なくなった反面,依頼鑑別が増加している。
 III-47表は,家庭裁判所関係鑑別受付人員のうち,鑑別終了者について,鑑別判定の結果を示したものである。昭和53年における鑑別終了人員は,1万4,782人であり,そのなかで最も多い鑑別判定は,在宅保護(主に保護観察)の7,278人(49.2%),次いで収容保護の7,004人(47.4%)である。また,最近3年間を比較すると,在宅保護の減少と収容保護の増加の傾向が認められる。
 次に,III-48表は,前表の対象者について,家庭裁判所が行った審判決定の結果を見たものである。昭和53年における審判決定のうち,最も多いものは保護観察の5,207人(35.2%)であり,次いで収容保護の3,935人(26.6%),試験観察の2,856人(19.3%)となっている。最近3年間における審判決定の構成比を見ると,保護観察と収容保護が増加し,これら以外は減少する傾向を示している。
 鑑別判定及び審判決定における収容保護の増加は,近年における非行少年の質的変容に対応して,法務省が昭和52年6月から開始した少年院における個別化処遇の徹底,収容期間の弾力化,短期処遇の充実等の施策が影響を与えているものと考えられる。
 少年院送致決定に当たっては,まず家庭裁判所は,初等,中等など少年院の種類を指定する。次いで,これを受けた少年鑑別所長は,各矯正管区長が定めた保護少年分類規程に従って,具体的な送致少年院の指定を行う。この場合,家庭裁判所が該当少年を短期処遇少年院へ送致する旨の勧告を付した決定を行えば,少年鑑別所長はこれに従うこととされている。

III-47表 鑑別判定別人員及び構成比(昭和51年〜53年)

 III-49表は,少年鑑別所が行った短期処遇少年院収容保護の鑑別判定と家庭裁判所が行った審判決定及び処遇勧告との間の関係を見たものである。これによると,少年鑑別所の短期処遇少年院収容保護判定に対する家庭裁判所の審判決定等は,約三分の一が短期処遇少年院収容であり,それ以外の主な決定は,保護観察及び試験観察である。

III-48表 審判決定別人員及び構成比(昭和51年〜53年)

III-49表 短期収容保護の鑑別判定と審判決定等との関係(昭和53年)