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 昭和54年版 犯罪白書 第3編/第1章/第1節/1 

第3編 少年非行

第1章 少年非行の動向

第1節 昭和53年の少年非行

1 概  況

 少年法は,20歳に満たない者を「少年」とし,その年齢,非行の態様などによって,犯罪少年(罪を犯した14歳以上20歳未満の者),触法少年(14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした者)及び虞犯少年(一定の不良行状があって,性格又は環境に照らして,将来,罪を犯し,又は刑罰法令に触れる行為をするおそれのある20歳未満の者)の3種に区分している。なお,本白書では,説明の便宜上,少年を年齢層別に,年少少年(14歳以上16歳未満),中間少年(16歳以上18歳未満)及び年長少年(18歳以上)に分ける。
 昭和53年の少年犯罪等に見られる主な特色は,次のとおりである。
 [1] 昭和53年における少年犯罪を量的に見ると,全刑法犯及び業過を除く刑法犯の検挙人員,人口比共にかなりの増加となっている。特に,女子少年犯罪の増加が著しい。
 [2] 罪名別に見て,前年との比較において増加している刑法犯は,窃盗,横領などである。横領は,昭和44年以降逐年増加を続けており,窃盗もまた47年以降増加傾向にあるが,その内容を見ると,窃盗では万引き,横領では占有離脱物横領など罪質の軽い犯罪が増加している。刑法犯の全般的な増加傾向の中にあって,粗暴犯及び凶悪犯は,横ばいないし減少を示している。
 なお,特別法犯については,シンナー等の濫用による毒物及び劇物取締法違反及び覚せい剤取締法違反が,前年よりそれぞれ著しく増加している。
 [3] 少年犯罪における低年齢層の増加傾向は,昭和45年以降続いているが,近時の傾向を見ると,中間少年にも増加の傾向があるように見受けられる。
 [4] 交通事犯関係による少年の業過の検挙人員は,ここ数年減少傾向を示したが,昭和53年では前年より増加している。
 [5] 触法少年は前年より増加したが,その主な行為は,窃盗及び横領である。
 [6] 虞犯少年は減少傾向にあるが,喫煙,飲酒に代わって,家出,不純異性交遊等が多くなっている。