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 昭和54年版 犯罪白書 第2編/第3章/第2節/4 

4 保護観察の成績

  (1)保護観察終了時の成績等

II-71表 保護観察終了者の成績別人員(昭和53年)

 保護観察は,保護観察期間が満了したときのほか,良好措置,不良措置,保護処分の取消しなどによって終了する。
 昭和53年に保護観察が終了した者6万8,382人について,良好措置により終了した者及び良好措置を検討中など行状が安定した状態で期間が満了した者を「良好」とし,不良措置等により終了した者及び不良措置をとるまでには至らないが行状が不安定なまま若しくは所在不明のままで期間が満了した者を「不良」とするなど,生活態度等をも総合的に評価して,良好,普通,不良の三段階の成績で分けて見ると,II-71表のとおりとなる。総数では,良好な成績で終了した者が71.7%,普通の成績で終了した者が14.5%,不良な成績で終了した者が12.6%である。これを保護観察対象者の種類別で見ると,成績良好の者は,交通短期保護観察を除く保護観察処分少年では75.3%,少年院仮退院者では44.3%,仮出獄者では43.7%,保護観察付執行猶予者では46.3%であって,かなりの高率を示している。一方,不良な成績の者は,少年院仮退院者で32.8%,保護観察付執行猶予者で40.2%と高い比率を示している。なお,仮出獄者では不良の者の比率が8.5%と低いが,これは,保護観察期間の短い者が多いことによる。

II-72表 保護観察終了者の終了時の職業(昭和53年)

 II-72表は,昭和53年に保護観察を終了した者(ただし,交通短期保護観察の者を除く。)の終了時の職業を見たものである。生産工程作業者・単純作業者が最も多く46.4%を占め,次いで無職の者(17.7%)が多く,両者で64.1%を占めており,この傾向は保護観察対象者のいずれの種別も同じである。第三位の職種は少年と成人とで異なり,保護観察処分少年と少年院仮退院者ではサービス職業従事者であるが,仮出獄者と保護観察付執行猶予者とでは販売従業者となっている。
  (2)仮出獄者の成行き
 II-73表は,仮出獄又は満期で刑務所を出所した者のうち出所後第3年目までに再び入所した人員を見たものである。昭和47年から51年までに仮出獄で出所した者の再入率は19.9%ないし25.4%であるが,満期釈放で出所した者では41.2%ないし50.3%となっている。仮出獄者の再入率は,満期釈放者のそれのおおむね半分である。仮出獄者は,満期釈放者に比べて,資質,帰住後の環境,刑務所においての行状等が良好な者が多いが,これらの差異によるもののほか,保護観察を通じて行われた改善更生への働きかけが,再入率の低下に寄与しているものと思われる。しかし,仮出獄者,満期釈放者共に,48年以降の出所者の出所後第3年目までの再入率が逐年増加を続けており,警戒を要するように考えられる。

II-73表 仮出獄者と満期釈放者の成行き(昭和47年〜51年)